親からのQ&A



小学三年生の男の子です。
最近、子どもが「学校の勉強が良くわからない」とよく言うのですが、塾にやったほうが良いのでしょうか?
A

 その子どもさんが、塾に行くかどうかというのは、自分自身が学校で勉強していて困難を感じているのかという本人の気持ちが大切です。「わからない」というから「わかるようにする」のが単純な親のつとめと思わないでください。本人はただの軽い愚痴なのかもしれません。
 本人が望むようであれば、いくつかの塾を見学して本人に一番合うところで学ぶというのはいかがでしょうか? ただ、親として大事な事は、結果だけで本人を見ないで欲しいということです。どこで本人の成績が上がるかどうかわかりませんから。「わからない苦痛」を理解してあげることが大切です。

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Q

子どもがゲームばかりしていてどうしようもありません。勉強してないでいて大丈夫なのでしょうか。親としては外に出ないでいることも心配ですし、友達とあまり話さない事も心配です。
A

ゲームをする子は多いですし、今のような悩みを持つ親も多いことは事実です。子どもにとってゲームとは何でしょうか?「嗜好」「気分転換」「ストレス解消」様々な役割があると思います。その子にとってゲームをするときが唯一の救いであるという事もあります。ですからゲームを取り上げる事には反対です。子どもとよく話し合って、子どもの意見をよく聞いた上で、ゲーム時間を決めるというのはいかがでしょうか。確かに子どもが自分で何かを決めるということは難しい事です。親と良く話し合うことによって、ゲームを子どもがなぜするのかという背景が見えてくるような気がします。
 親は今ある状態が「嫌」だから単純に「禁止」したいという欲望にかられます。しかし、そのことは子どもを余計無口にさせます。子どもは親に絶望して「何を言っても無駄」だという感情が湧いてきます。「どの子も理解しあいたい=理解しあえれば幸せ」という感情を持っていることには変わりがありません。友達関係を築くことも親子のコミュニケーションを豊かにする延長であると考えます。豊かな関係を築くために、時間をかけて話し合ってください。

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Q

中学校に行かないで、毎日昼間寝て夜起きるような生活をしています。
生活が不規則なせいで学校に行けないと思い、睡眠薬を服用しています。
しかし「夜は眠くない」と言い、いつまでも起きています。何とかこんな生活を変えたいのですがどうしたらいいのでしょうか?
A

 学校に行かなくなると生活が昼夜逆転すると言うのはよくある現象です。昼間は、「学校に行け」と親から言われ、、先生からは電話がかかってきたりします。自分でも学校に行けない自分を責めます。昼間は安心できない時間なのです、問題は、周囲の大人がどのように本人を理解してあげるかと言う事にかかっています。学校に行かない本人を理解されれば、本人は安心して昼間起きることができるのでしょう。
 「安心」というのは子どもを甘やかす、と思っている大人が多くいます。それは逆です。安心感のない子どもは、どこか不安定であり自分を責めています。「行かなくてもいい」と言葉だけで言うのも変な事です。「行けない辛さ」を理解してあげる大人、人生の中でそのような経験から学ぶものがあるという事を共感できる大人が必要なのです。もし自分が本人であればという想像力を働かせてください。

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Q

 子育てに全然夫が協力してくれません。夫婦共働きなので、夫の協力なしでは子育てがとても辛いのです。
今のままでは仕事を辞めなければなりません。家計のこともありますが、私自身仕事に生きがいを感じています。
休日の家事や、子どもの入浴をぜひ手伝って欲しいのですが。
A

 子育てはとても大変です。しかし、子どもと接しているとどこか大人も癒されるものです。核家族であればパートナーの協力は欠かせません。そこで子育てに引き込むいくつかの提案をいたします。

1、頼み事を具体化する
 子育て経験のない男性は、家事の経験も乏しいです。ですから、できるだけ頼むことを具体化して本人にわかるように伝え、はじめは一緒にやることから経験するようにして下さい。
2、評価をあまりしない
 子育てに必要な家事は、当然はじめは余り上手にできないものです。「下手ね」というような評価は禁物です。男性は、毎日女性がこれだけの労働をしていたのかという事だけで、意外と感心しています。
3、子どもから得るものを共有する
 子育ての経験から、子供がたくさんの事を教えてくれます。まだ言葉を発しないのに、笑顔を見せる子ども。子どもは本当に無限の可能性を教えてくれるものです。子育てをしない男性は、子どもから得る喜び、癒しを理解していません。ぜひ、子育てに巻き込んでください。
4、子育てをする父親同士の話し合い
 子育てをする父親は増えています。友達か誰かの紹介でもかまいませんが、子育てを楽しんでいる男性に話をしてもらうと言うことは本人にとっても大きなことかもしれません。

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Q

 幼稚園の子どもですが、学校から帰る度に服がとても汚れて気になります。
周りのお母さんたちの話では、「いじめられている」ような話も聞かせれます。
 最近、家に帰って、よく爪を噛んでいます。
小さなうちから親が子どもの社会に介入する事は、私個人としてはあまりやりたくないことです。
どのように対処すればいいでしょうか?
A

 子どもさんと良く話し合うことが必要です。その場合、「親は子どもを守る」という絶対的な姿勢がなければ子どもは親に本当の事を言わない事もあります。「弱くても、いじめられていても親はあなたの事を守る」という立場がなければ子どもは本当の事は言いません。まずは子どもさんの口から事実を聞いてその上で、先生に話せば良いと思います。
 子どもの社会は狭く、そこのでの人間関係を崩せば修復できないものと考えがちです。むしろ一呼吸おく事で関係が改善することもありますから、その時は親が遊んであげれば良いのではないでしょうか?子どもさんが気楽に人と接する事ができれば、「爪を噛む」ということはなくなると思います。ただ、「強くあって欲しい」と思うあまりに子どもを追い詰めることも良くあります。強いとか、弱いという事を簡単にきめられるものでもありません。弱さを自覚している人が本当に強い人なのかもしれません。その辺を大人の価値観を押し付けるような会話にならないように注意しながら話してください。

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Q

 先日検診のおりに、子どもの反応が鈍いので小児科を受信するように言われ、専門医に見ていただいたところ「知的障碍がある」と言われ、とてもショックです。姑には「家にはそんな子は生まれた事がない」と嫌みを言われました。実家の母にも相談したところ「親が一生面倒見るしかない」と言う言葉を言われ落ち込んでいます。夫とは、最近子どものことでは余りはなしていません。
 親としてこれからどのようにこの子に関わればいいのか、乙武君のお母さんのように私はとてもなれません。ただなぜかこの子といるとホッとするのです。それでいいのか?と言う反問だけに苦しむ私です。
A

 それはとても大変ですね。大変と言うのは周りがあまりあなたに協力的でないという意味です。障碍を持つ子どもさんは、これから多くの試練が待っている事と思いますが、それは障碍がなくともある事なのではないでしょうか。つまり、どの子も成長してゆく中で何の試練もないと言うことはありえません。問題はその子どもさんが、自分の人生を全うして「楽しい」と言えるものがあるかどうかだと思うのです。楽しい人生を生きることなしに障碍があるかないかだけで、その人の人生を決めてしまう事はとても不遜な事だと思います。
 障碍のあるなしに関わらず、子どもは自分の人生を決める権利があり、楽しむ権利があります。親として子どもの障碍と付き合いながらその子を周りから隔離するのではなく、どんどん社会に出してゆくことが子どもさんにとっての選択肢が増える事につながります。
 人は社会的な存在です。子どもは家族が育みながら、やがて社会に出てゆきます。障碍があるから社会に出てゆけないという時代ではありません。障碍があるからこそ、社会の役に立つこともきっとあるはずです。これからは、もちろん辛い事もあると思いますが、親にできる事は意外と少ないのかもしれません。ただ暖かい眼差しがあれば子どもは安心できるだろうと思います。「安心」できる子どもは、きっと人を好きになり、人から好かれることでしょう。
 子どもが楽しく人生を生きるには、親が楽しく生きることが欠かせません。ぜひ、あなた自身が自分の人生を楽しく生きてください。それが子どもさんへの何よりの励ましではないでしょうか。

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Q

3人兄弟の末っ子で高校生になる子どもが、3人でバイクを盗んで警察に捕まりました。警察での取調べでそれ以外にもいくつか窃盗や恐喝をしていたそうです。少年鑑別所に送られ、その後家裁でどのような措置になるか決まるようです。
 子どもと今後どのような形で接することが良いのか親としては本当に自信を失っています。家に帰ってからがとても気が重いです。父親はサラリーマンで毎日忙しく働いています。「お前の子育ては何だ」と最近責められ私もどうしていいのかわかりません。子どもが成人になるまでどのように育ててゆけばいいのか悩む毎日です。
A

 本人にとっても犯罪を犯すと言う事は、非常に大きい様々な精神的負担があると思います。いろんな不満や、不安、社会への反発がそのような行動に走らせるのでしょう。大切なのは犯罪を犯そうが何しようが失敗は人生につきもので、どのような失敗や反社会的な行動も合法的な行動に変える事ができます。問題はそれを支える環境があるかどうかです。また、本人が心の中で謝罪の気持ちを持ち、誤り、その上で新しい人生が開けます。
 気になるのは、パートナーである夫が子どもさんの問題を一方的にあなたの問題であると言うように押し付けている事です。子どもの問題は、子どもの問題です。罪を引き受けるのも子どもです。ただ、そのような過ちを家族として受け入れ、本人を支えてあげることができれば本人は再び人生に挑戦できます。
 夫と良く話し合うことがとても大切です。夫も悩んでいると思うのですが、親として引き受けなければならない問題もあるのです。親が逃げれいれは本人がこれからどのように立ち向かってゆくかという希望などわいてはきません。あるがままの子どもを引き受けてそこから家族で支えあって出直してください。
 誰かを責めれば楽になると言う問題ではありません。子どもと向き合い、生き方を話し合い、新しい挑戦を支えることができれば子どももきっと元気になるはずです。

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Q

 子どもの将来が気になってしょうがありません、現在子どもは小学5年生の男の子です。小さい頃は、私が働いていたせいもあり姑に面倒を見てもらってました。気が付けば子どもは姑べったりです。何をするにも姑が口を出してきます。下の女の子は小学2年生で私から離れようとしません。夫は「気にするな」と言いますが、何もかも子どもに干渉する姑の姿を見るととても耐えられません。
 「自分の子どもなのに」と思うと余計に心が複雑です。この子が将来大人になったら親のことをどう思うのだろう。社会で生きてゆくうえであんなに甘やかされて将来どうするのだろうと悩んでしまいます。
A

男の子が生まれた場合、どうしても「跡取り」と言う目で年寄りは見てしまいがちです。たしかに、いろんな大人が関わる事は子どもにとって必要なことではありますが、親が関われないというのは問題です。親としてどうしても関われないというのならば、親と相談して家を出るべきです。同居することがすべて前提になっているのでは、あなたは救われません。誰かががまんをしたり、強い不安を持っていると、子どもの成長にも複雑な影を落とします。夫にあなたの困難を理解していただいて、そこから子どもさんとの関係を築きなおしたほうがいいと思います。
 子どもの成長を家族が育む場合、過保護と過干渉は違うように思います。保護する事は子どもですから同然必要です。ただ干渉する事は、子どもから決めるということや選ぶということ、そうした能力を奪ってしまいます。小さな頃から決める事が本人の自信につながります。ですから、干渉して育てる事はとても危険だと思います。子どもを付属物や、自分の希望を託す存在にするのは間違いでしょう。

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